大腸内視鏡検査で大腸ポリープがみつかり「これは取らなくても大丈夫ですよ」と医師から説明を受けたものの「本当に取らなくて大丈夫なの?」「がんになったりしない?」と不安になっている方いませんか?
とくに年齢的に大腸がんのリスクが気になっていたり、便通の変化などの症状が出ていたり、遺伝的要素があるとよりいっそう心配になりますよね。
大腸ポリープには、取らずに経過観察でよいものと切除が必要なものがあり、医師は大腸内視鏡検査でその大きさや数・形状・色調などを総合的にみて判断しています。
この記事では、大腸内視鏡検査で見つかった大腸ポリープが「取らなくてもよいケース」なのか「切除が必要なケース」なのか、その違いについて看護師の視点でわかりやすく解説します。
大腸ポリープとは?

大腸の内側の表面(もっとも浅い層)は粘膜でできており、この粘膜の一部がイボ状に隆起したものを大腸ポリープといいます。[1]
皆さんの中には、ポリープと聞くと「がんになるのでは?」と思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、大腸ポリープの分類やリスク要因・症状について詳しく解説していきます。
大腸ポリープの分類
大腸ポリープは、組織の違いにより「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に大きく分けられ、「腫瘍性ポリープ」はさらに「腺腫」と「がん」に分類されます。[1]
出典:「病気がみえる vol.1 第6版」p.221をもとに著者作成[2]
腫瘍性の「腺腫」は、増大すると「がん」化の可能性があることが知られています。[1]
非腫瘍性ポリープはがん化リスクが極めて低く、基本的に経過観察可能なポリープです。
※ただし、ポリープの大きさや形状・数・性質などによっては、医師の判断で切除が選択されることもあります。
そもそもなぜ大腸ポリープってできるの?
大腸ポリープはすべて「がん」になるわけではないことは理解していただきましたよね。
では、そもそもなぜ大腸ポリープはできるのでしょうか?
大腸ポリープのリスク要因には、年齢や生活習慣・遺伝的要素などの要因があると考えられています。[3]
生活習慣に関連するリスク要因
食事:加工肉(ハム・ウインナー・ベーコン・コンビーフなど)、赤肉を塩漬けしたもの、燻製など
喫煙:1日あたり20本以上喫煙すると、男性で約20%・女性で約40%リスクが上がると報告されています。
飲酒:アルコールの代謝で産生されるアセトアルデヒドや活性酸素に、発がん性があるといわれています。
肥満:BMIが上昇するにつれて大腸がんのリスクは増加するといわれています。
身体活動:運動不足は大腸がんリスク上昇に関連するといわれており、日常的に体を動かす習慣はリスク低下につながると報告されています。
遺伝に関連するリスク要因
家族や血縁のなかで大腸ポリープや大腸がんの診断を受けた人がいる場合は、早めに大腸内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします。
また「家族性大腸腺腫症」という遺伝性のポリープもあります。無数の腺腫性のポリープが大腸にできる疾患で、治療せず放置すると40歳で約50%・60歳でほぼ100%大腸がんになる可能性が高いと報告されています。[4]
葉月えつこご家族に該当される方がいらっしゃる場合は、ぜひ医師にご相談
ください。
年齢に関連するリスク要因
厚生労働省では、40歳以上を対象に定期的な大腸がん検診(便潜血検査)をすすめています。[5]
大腸がんの罹患数は40歳ごろから徐々に増え、50歳代から急増しています。
便潜血検査で要精密検査になった場合は、大腸内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします。
これらは「大腸がん」のリスク要因として報告されていますが、大腸がんと大腸ポリープ(がん化する可能性のあるポリープ)のリスク要因はほぼ同じと考えられています。
大腸ポリープを疑う症状
多くの場合、初期の段階で自覚症状はほとんどありません。
そのため自覚症状がない段階でポリープがみつかるきっかけというのは、下記の場面が多いのではないでしょうか。
・便潜血検査で「陽性」と言われ、大腸内視鏡検査を受けた
・家族に大腸ポリープ・大腸がんの人がいるため念のため大腸内視鏡検査を受けた
・人間ドックで「大腸内視鏡検査」を受けたほうがいいと言われ受けた
このことからもわかるように、少しでも「リスク要因に当てはまるかも」と感じる方は、症状がなくても定期的な検診や大腸内視鏡検査を受けることが非常に重要といえます。
早期発見でポリープの存在に気付けば、早い段階で切除でき大腸がん予防につながるのです。
また、下記のような症状[6]が出た場合は、検診を待たずに早めに医療機関を受診してください。
・便に血が混じる
・下痢と便秘を交互に繰り返す
・排便後も便が残っている感じがある
・お腹の痛みや張りが続く
・貧血の症状がみられる
・便が細くなる
・原因不明の体重減少がある
その大腸ポリープ、切除する?しない?


さきほど「大腸ポリープの分類」でも説明した通り、「大腸がん」につながる可能性があるポリープは「腺腫」や「SSL」で、多くは切除の対象になります。
「腺腫」は大腸内視鏡検査で比較的よく見つかるポリープです。ゆっくり大きくなり、将来的にがん化する可能性があるといわれていますが、すべての「腺腫」が「大腸がん」になるというわけではありません。
また、みつかったからといってすべてをすぐに切除するとは限らないのです。
では大腸内視鏡検査で「腺腫」がみつかった場合、医師はどのタイミングで切除を検討するのでしょうか。
次のような基準が一般的な目安です。
・切除適応:5~6㎜以上の大腸腺腫[7]
・5㎜未満の微小腺腫(陥凹型を除く)は切除せず経過観察[8]
腺腫のがん化は、おもに大きさ・異型度(細胞の異常の強さ)・絨毛成分(粘膜表面の“ひだひだ”の部分)の比率に関連していると報告されており、特に大きさは重要な指標とされています。[9]
※形状や性質によっては5㎜以下でも切除する場合もあります。
切除の方法や適切なタイミングなどについては、患者さまにより異なるため医師の総合的な判断が必要です。担当医とよく相談されるとよいでしょう。
ポリープ切除後の再検査の目安は?


大腸内視鏡検査で「腺腫」を切除した場合、再検査(フォローの大腸内視鏡検査)の目安となる間隔は、次のように示されています。
・腺腫2個以内を切除した場合:3~5年後[10]
・腺腫3~9個を切除した場合:3年後[11]
上記はあくまで目安です。
実際のフォロー間隔は、病院の方針や医師の判断基準によります。
自己判断で再検査を先延ばしにしないことが大切です。
途中で血便や腹痛・体重減少など気になる症状(症状について詳しくはこちらを参照)がある場合は、再検査を待たずに早めの外来受診をご検討ください。



ポリープを切除しなかった場合も、いつごろ再検査が必要か医師に確認しておくと安心です。
大腸ポリープの予防策


大腸ポリープのすべてを予防できるわけではありませんが、日常生活の見直しでリスクを下げることは可能です。
さきほど「大腸ポリープのリスク要因」については説明しました。
ここでは、それぞれのリスク要因に対してどのようなことに気をつけたらよいのか、予防策について詳しく解説していきます。[3]
・食生活の見直し:全粉穀類、食物繊維を含む食品、乳製品、カルシウムを意識してとることが推奨されています。
・禁煙:喫煙は大腸ポリープや大腸がんのリスク上昇との関連が強いため、禁煙は最も効果が期待できる予防行動の一つとされています。
・節酒:飲酒量が増えるほどリスクが上がると報告されており、大腸がん予防のためには目安としてアルコール23gの範囲に抑えることが望ましいとされています。[12]
《例》ビール大瓶1本(633ml)、日本酒1合(180ml)、焼酎25度 120ml、ワイングラス2杯(200ml)
・適正体重の維持:BMIを18.5〜24.9kg/㎡の範囲に保つことが推奨されています。
・適度な運動:体を動かすことは、体脂肪の減少・消化が促進されることによる腸通過時間の短縮などが想定されます。
最後に


ここまでお読みいただきありがとうございます。
大腸内視鏡検査でポリープが見つかると「取らなくていいといわれたけど本当に大丈夫?」と不安になるのは、とても自然なことです。
多くの方が気になるのは「がん」の心配ではないでしょうか。
とくにご家族に大腸ポリープや大腸がんの方がいらっしゃるならなおさらのこと。
そうしたケースでも、定期的な内視鏡検査を継続していくことで早期発見・早期対応につなぐことができます。
医師は大腸ポリープの種類や大きさ・数・形状、そして年齢や持病などをふまえ「切除するか」「切除しないで様子観察か」を総合的に判断しています。
気になるときは、遠慮せず医師に相談してみてください。
また大腸ポリープや大腸がんは、早期発見と適切なフォローで予防や治療につながるケースが多いのも事実です。



定期的な検査と生活習慣の見直しを意識しながら、ご自身の体を守る行動につなげていきましょう。
参考文献
【参考・参照】
[1]兵庫医科大学病院>もっとよく知る病気ガイド>疾患名や診療科・部門から探す>消化器内科 大腸ポリープ
[2]2020年,株式会社メディックメディア,医療情報科学研究所,病気が見える vol.1 消化器 第6版,p221
[3]国立研究開発法人 国立がん研究センター>プレスリリース(2024年度)>大腸がん対策を推進するための「大腸がんファクトシート」公開>大腸がんファクトシート WEB公開版>第3章 大腸がんのリスク
[4]国立研究開発法人 国立がん研究センター>広報活動>研究トピックス(2024年度)>ポリープの大腸がん化に腸内細菌が関係していた-大腸腺腫症(FAP)から知る大腸がん発生のメカニズム->注釈1 大腸腺腫症
[5]厚生労働省>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>がん対策情報>がん検診
[6]独立行政法人国立病院機構四国がんセンター>がんを知る>「病名」で検索する>大腸がん>大腸がんについて
[7]2023年,医学図書出版株式会社,赤松泰次.植木敏晴.岡政志ほか,消化器内視鏡技師のためのハンドブック 改訂第8版,p.384
[8]日本消化器内視鏡学会>ガイドライン・提言>大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン>PDF p1540 Ⅲ-2 CQ13 内視鏡的ポリープ切除は大腸がん死亡を抑制するか
[9]日本消化器病学会>ガイドライン一覧>大腸ポリープ診療ガイドラインPDF p30 BQ3-2 腺腫の担癌率は?
[10]日本消化器内視鏡学会>ガイドライン・提言>大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン>PDF p1543 Ⅲ-3 CQ16 初回スクリーニング大腸内視鏡で腺腫(2個以内)を認め切除した場合のサーベイランス方法・間隔は?
[11]日本消化器内視鏡学会>ガイドライン・提言>大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン>PDF p1544 Ⅲ-3 CQ17 初回スクリーニング大腸内視鏡で腺腫(3~9個)を認め切除した場合のサーベイランス方法・間隔は?
[12]国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト>科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究>現在までの評価>飲酒と大腸がんリスク




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